気合を出せとよく言われます。
辞書を引くと
①あることに精神を集中してかかるときの気持ちの勢い。また,それを表すかけ声。 「 -をかける」 「 -が入る」
②物事を行うときのこつ。また,互いの間の気分。息。呼吸。 「 -が合う」
武道的には
気合には有声と無声に分かれます。
大東流では有声を取りますし、一刀流では無声です。
どちらも意味があります。
どちらにもメリットとデメリットがあるのです。
有声には
1、威嚇
2、自己の鼓舞
3、環境を変化させる
等の利点があるのです。
ただし呼吸を読まれる等のデメリットも同時に発声します。
無声は「気合は内に充実して無声になる」
の言葉通り、気の充実を以て初めて意味を成します。
気の充実を見ないと気合負けしてしまいます。
気合は敵を委縮させ、自分の能力以上の力を発揮させ、環境を自分に有利に働かせる有用な手段です。呼吸に合わせた気の修練が必要です。
大東流では気合について発声の原則を持っています。
エイ
鋭 鋭い攻撃に用います。 例)正面打ちの攻撃
ヤ
矢 点での攻撃に用います。 例)一本拳での攻撃
トウ
当 面での攻撃に用います。 例)正拳突き、当身
トーゥ
投 投げ技に用います。
ハ
破 とどめの攻撃に用います。
ヨッ
寄 敵を自分に引き込むとき 例)引き技等
大東流ではこれを動きに合わせ発声していきます。動きと音がぴったりフィトしていることに驚きます。
こうして有声の呼吸を習慣化させ気を充実させるのです。
細かい動きについては自分の動きに合わせた擬音語が有用です。
五輪の書を読むと宮本武蔵は自分の擬音語を持っていたようです。
体の使い方にもよりますが、呼吸を細く長く使うときは、「イ音」すなわちキーとかシュッとか使うと「間詰め」に使えるのです。
古流でも示現流や念流は独特な発声を持つようです。
自分にあった自然な発声音、数稽古を行うと自然に身についてきます。
共に研究・研鑽していきましょう。
9月の13,14,15日の連休に黒瀧山不動寺に行ってきました。
恒例の秋季合宿です。お天気に恵まれ少ない人数でしたが、とても良い稽古ができました。
このお寺は黄檗宗の別格本山で江戸時代には300人の雲水がいたといわれています。
http://www.nanmoku.ne.jp/~choon/index.html
日本の四季がしっかり詰まった禅の山寺です。
初めてこの山に登ったのは18歳。「友人の早稲田の学生から修行するにはもってこいの寺がある。」
この情報を頼りに一人大きなリックサックをしょって、下仁田の駅から一日に何本もないバスに乗り、降りた先が小沢橋。そこから不動寺をめざし延々と歩きます。歩けど歩けど着かない。やがて集落はなくなりうっそうとした森と山へ向かう道が続くだけです。不安を隠すため、大声で歌を歌いながら歩いたことを思い出します。必死に歩き続けて1時間半5kmの道を休まず上ります。そうしてたどり着いた不動寺です。
まさしくそこは若い武道少年が修行するには理想的な場所でした。
朝の朝課・座禅に始まり、作務。午前は山登り。観音岩や九十久谷は庭のようなものです。遠く毛無岩にも出かけます。滝行に武道・剣術、そして座禅。これを繰り返していきます。私の青春の圧縮された場所でもあります。時間の余裕のある時はほとんど不動寺過ごしていました。
不動寺合宿はそんな往時を忍んで同じプログラムで行われます。
年を取られた方はそれなりに、若い方は体力に応じながら粛々と行われます。
詰めて稽古をする。武道の修行の上にはどうしても必要なことです。
初めて参加した人も素晴らしく上達しました。うれしい限りです。
不動寺の素晴らしい自然、ちょうどムササビが飛んでいました。邯鄲の鳴き声が素敵でした。
何よりも和尚はじめ皆様の温かい愛情で、充実した合宿を行うことができました。 感謝。
8月3日(日)より9日(土)まで日本武道館勝浦武道センターにて合宿を行います。
参加希望者は申し込みください。
http://www.daito-ryu.org/jp/tokubetsu-keiko.html
尚、同期間中の船橋道場並びに日本橋道場の稽古はお休みします。